2004 自然観察会(3)アキヨシアザミ
10月にも地元の小学生のための自然観察会が秋吉台であり、hige先生のお手伝いで出動しました。「今日は途中でお話はありません。秋吉台で一番高い、龍護峰(425m)に一気に登ります」 「は~い」
hige先生も歩くのが速い。ですが、身軽な小学生の登りは速い!! あっという間に引き離されました。(^o^)/ 置いていかれないよう必死で歩きました。が、道々で写真してみました。
ヒメヒゴタイ、もう花は終わりかけでした。 一度草刈されて?それから伸びたと思われる、フシグロの花が未だ咲いていました。
そして、これが問題のアキヨシアザミ(秋吉あざみ)です。 秋吉台の草原は、かつての日本の明るい草原で普通に見られた植物が今でも普通に残っていることが特徴です。が、このアキヨシアザミは秋吉台に固有なアザミと考えられていて。 唯一「あきよし」の名前がついている植物です。
日本の植物分類学者のパイアオニアの一人で。東大教授、小石川植物園長、ボゴール植物園長、国立科学博物館長を務めた、中井 猛之進(なかい たけのしん)が
①このアザミを秋吉台固有の 「アキヨシアザミ」と名付けました。1921年
嬉しい事に、中井猛之進が勤務していた(戦前)、インドネシアのボゴ-ルにある 世界最大の植物園「ボゴール植物園」を駆け足で見学したことがあります。
その後
②北村四郎が詳細に研究し アキヨシアザミはモリアザミの変種(Cirsium dipsoacolepis var.calcicola )であると発表しました。
ということで?秋吉台には「アキヨシアザミ」と、その母種である「モリアザミ」が 混在して、生えていると思われてきました。「ガク片」と「花の大き」さで区別すると言われても、連続的に変化していて、「どれがアキヨシザミ」と悩みながら区別してきました。が、これが難しい~。 のところ
国立科学博物館の植物研究部の専門家が秋吉台でつい最近、再調査を行いました( hige先生は同行して、調査に強力に協力しました)。の、結果
③アキヨシアザミは秋吉谷の固有のアザミで Cirsium calcicola という名を貰いました。変種から昇格して種になりました。*秋吉台の草原にあるアザミの、ほとんと全ては、アキヨシアザミだそうです。(これがアキヨシアザミと安心して歩けるようになりました \(^o^)/)
ここで一言:分類学が難しい!
形態、生理学、遺伝学、行動学など・・・生物の分類は 総合的に研究されてきました。これまでの多彩な内容にDNA的研究が加わって、分類学は完成!と思っている人がいたら大間違いです。確かにDNA的研究は、進化系統的関係や類縁関係の解明に強力ですが、分類学の本質的困難さは解決しません。 形態の「どれだけ差」があったらAとB、DNAの塩基配列に「どれだけ差」があったらAとBに分ける。か、は同じ。人為的に「 そうすることにする」 「そう見なす」と やっぱり最後は人の考え方に基づくからです。 考え方は人いろいろです。分類学も、茶道のように 「表千家」「裏千家」など、いろんな考え方があるということに。
小学生達に一分くらい(3分?)遅れて、頂に到着しました 周囲の風景を眺めながら、hige先生からアキヨシアザミのお話が。 その後、小学生に必死について下りを歩き、出発点に戻り、自然観察会は終了しました。観察会はあと2回あるそうです。
サ-ビス画像 『銀の谷』秋の午後の低い日差しを浴びて、ほんの短い時間、ススキが銀色に輝きます。