1921 木の春で ヤブツバキ
『河の上の つらつら椿 つらつらに見れども飽かず 巨勢の春野は』-万葉集
万葉時代から人気があったヤブツバキは昔々からあったような感じですが、ヤブツバキが地上に現れたのは意外と最近です。
茶の本場の東南アジアの照葉樹林で生まれた茶は、北上しながら様々な茶(椿)に分かれて種類を増やし、香港辺りで最初のヤブツバキが誕生し、台湾から沖縄を経由し、日本列島に到着したそうです。
ヤブツバキがヤブツバキとして、日本列島に定着したのは、1万5千年前~2万年前らしく。ヤブツバキは意外と若い種族です。
「椿の花はポトリと落ちるので縁起が悪い」 の迷信がありますが、これは全然全く当たってない迷信です。江戸時代の日本は世界一の園芸王国で、「椿」園芸も盛んだった時代です。あまり盛んになりすぎて投機の対象になるほどでした。お金が動く園芸を懼れた幕府は 「華美はいかん! 椿はいかん!」 とお触れを出しました。ついでに、 「椿は縁起が悪い」 のウワサも流したそうです。 この時代には「肥後椿」や五島の福江では「玉の浦」などの 名品の園芸種がたくさん作出されました。「玉の浦」は私が一番好きな椿です。
『河の上の つらつら椿 つらつらに見れども飽かず 巨勢の春野は』 どこにもあるヤブツバキは大好きです。が、ヤブツバキほど写真撮りが難しい木はありません。
どこが難しいか?? 鮮やかな朱赤の花、花のまん中の 雄しべの溢れる黄色、葉のつらつら艶々の濃い緑。を 同時に、また、それらしく、写真するのは技術的に難しく、至難の業です。 よく落ちた花をロマンチックに撮る写真を見かけますが・・・生き物は「もの」じゃない 生き物の活き活きを撮らない奴は、社員じゃない! は社長の口癖ですっ!
と言われても、なかなかそんな写真は 未だ一度も撮れてません (-.-;)y-~~~ 我が家にも、5,6本の小さなヤブツバキがあります。が、ヒヨドリが蕾を囓っています。せめて、咲いてからにしてほしい・・・希望中です。