森羅万象

1735 香月泰男の 「サン・ジュアンの木」

画家、香月泰男の美術館は 彼の故郷の長門市の三隅町にあります。その美術館の 「サン・ジュアンの木」 の花が咲いたらしく 、行ってみました。

香月泰男は、シベリアで餓死寸前の辛い捕虜生活を経験しています。が、釈放され,帰国する時、 収容所で食べた「サン・ジュアン」 という豆を服の襟に隠して 密かに持ち帰ったそうです。「サン・シュアン」豆は自宅の庭に植え、その子孫が美術館にも植えられています。


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これが美術館の中庭にあるサン・ジュアンの木。 豆ができる 豆科の木は 鳳凰木、アカシア、、ネムノキ、フジ・・・と色々ありますが、これは相当雰囲気がそんな豆科の木と違っています。ほんとに豆の木か? 

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葉を見ると・・・確かに羽状複葉で豆科の葉,が、やや肉厚で艶々した、あまり見慣れない葉。館内にあった説明を見ると 地中海沿岸にある 「イナゴ豆」 だそうです。艶々した肉厚の葉は、地中海沿岸の木の特徴(硬葉樹)で、それなら分かると納得です。

サン・ジュアンはスペイン語で San Juan 、発音は サンファン 意味は「聖ヨハネ」です。 サンファンという地名はスペイン国内や、ポルトガル、イタリアなどラテン系の国、また、スペイン語系の人が住む 中南米、アメリカ、それにフィリピンなど 世界各地にあり、「聖ヨハネ」の祭りも盛んに行われています。

香月泰男が 「とても美味しい豆」と持ち帰った豆は なぜサンジュアンという言う名前? ソ連軍の人達が 「サン・ジュアン」と呼んでいたので  そう覚えてきたのでしょうか?  自宅にその豆を植え育て、食べたみたら、かなり不味かったそうです。 サン・ジュアン=イナゴ豆は、普通は豚などの家畜用の豆で、不味く、飢餓状態で食べたので美味しいと思ったのでしょう・・・・か 味の記憶はTPOと深く関係があります。子供の時 あんな美味しい物はない!と思ったのに・・・大人になって食べてみるとガッカリする ような事はよくありませんか?
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花は外からは全然見えず。木の下に潜って見上げると こりゃ何じゃ!の花が咲いていました。

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太い幹からいきなり赤い枝が出て、その枝に花が付いていました。


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これは開き初めのようで、枝先にだけ開いた花が・・・・ 


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枝先から中、根本の方へと開いてくるようで・・・最後はキンモクセイ?状態に

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花びらはなく、雄しべと雌しべのようなものが・・・・とても豆とは思えない不思議な形。これから どうやって豆が出来ていくのでしょうか????

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館内に、15cmくらいあるごついサヤが展示されていました。日本での呼び名 「イナゴ豆」 は Locusta bean  バッタの豆 からきているようです (カラスのエンドウと同じで、バッタくらいしか食べない豆の意味でしょうか)。

が、学名はCeratonia 、ギリシャ語の keration (角 サヤの形から? 角豆?〕  果肉は甘く甘味に. が 普通は家畜の飼料に利用されてきたようです。なお、ネットを見ると豆の粉や 豆の粉入りクッキ-が販売されおり、 品種によっては産地のイタリアなどで 食用として利用されているのかも。

イナゴ豆は聖書にも出てくる豆。また、乾燥した豆は 秤の重りとして利用され。 乾燥した豆 1個 0.2g → 1カラット( kerat から派生) 宝石の重さの単位となっている 大した豆です・・・・

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シベリア・シリ-スがあまりにも有名で、暗い画家のイメ-ジがありますが、実際はそうではなく、とてもよい家庭人であったようです。子供達のために ブリキや木切れで 楽しいおもちゃを作ってやっています(本物は両手サイズ )。


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サン・ジュアンの木に忙しく 肝心の絵は見なかった 香月泰男美術館の報告を終わります。




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by ab300211 | 2011-10-29 23:06 | 植物